「ONがひまわりなら私は月見草」
この言葉は、先日亡くなられた野村克也さんが発した言葉です。
野村さんが現役時代の昭和50年、王さんに次いでプロ野球史上2人目となる600号ホームランを打った時に、報道陣に向けて披露した言葉です。夜中にひっそりと咲く月見草が自分で、太陽の下で咲くひまわりを長嶋さん、王さんに例えたのです。
何をしても日陰の存在であった野村さん。プロ野球の中でもとりわけ人気があった二人をライバルとし、日夜練習に励み新記録を打ち出すも、あっさり塗り替えられる。また新記録を作ろうと思って努力するも、おいしいところを全て持っていかれる。通算600号ホームランを放ったとき、まさにその当時の野村さんの心境を表現されたのでしょう。
野村さんにとって、絶対に負けたくないと思わせてくれる二人のライバルの存在があり、自分も内なる目標を胸に秘め努力した結果が、新記録を打ち出したのでしょう。
野村さんがヤクルト球団の監督に就いた最初のミーティングは、「人生論」「仕事論」だったそうです。板書されたことを、選手はひたすらノートに書き留める。今でもこのノートを大事に持っている選手は数多いといいます。野村さんの野球についての知識はもちろん、豊かな人間味あふれる言葉は、これからもいろいろな形で継がれていくでしょう。
最後に、野村さんが残してくれた言葉を紹介します。
《勝ちに不思議の勝ちあり 負けに不思議の負けなし》
《敵は我にあり 希望に起き 努力に生き 感謝に眠る》