「控え居ろう!この紋所が目に入らぬか」――ご存知、水戸黄門の名場面。
映画やテレビドラマ・小説などで数多く描かれるなど、誰もが知っている『勧善懲悪』の定番です。
“天下の副将軍”こと水戸黄門が諸国漫遊を兼ねた世直しの旅に出て、悪政を行う家老や代官らを懲
らしめるお話。
ドラマでは佳境に入ると、お供の助さん・格さんが三つ葉葵(紋所)の印籠を見せて、この名ゼリフ
で正体を明かすという筋書き。わかっちゃいるけど、痛快で胸がスカッ。
ところで、実在の第2代水戸藩主・徳川光圀はといえば、「大日本史」編纂のため儒学者らを日本各地
へ派遣して史料収集を行っています。が、自身は江戸と国元の往復や領内見廻りなど訪れた所は限定
的で、諸国を漫遊したという記録は一切確認されていないそうです。
つまり後世の人々が脚色した創作であるため、史実と異なる部分が多いことをくれぐれもお忘れなく!
翻って300有余年の時を経た現代、政治や行政、経済・スポーツ界が大きく揺れ動いています。ま
さか、またかの相次ぐ疑惑と不祥事。
こうした報道に触れるたび、手本となるべき人たちの道徳観や倫理観の欠如を感じざるを得ません。
嘆かわしいやら、情けないやら・・。
聖徳太子以前の古来からあったとされる『勧善懲悪』の心。日本人の美徳やモラルよ、今いずこ・・。
善悪の区別が当たり前にでき、恥を知り人の痛みがわかる心を伝え残すこと。
折に触れ、自ら襟を正して来し方を顧み行く末を探ること。
――かくありたいと強く思う、今日この頃です!
聖徳太子の十七条憲法第六条「懲惡勧善。古之良典。」